「これ、何釉をかけているんですか?』
工房入口の棚の
緑色のご飯茶碗について
そう聞かれることが
多くありました。
「ええと、これはオリジナル釉薬をかけていてですね、、、」
その度に
言い訳をする、おぢ。
教室で使用している釉薬は市販のもので
ポットミルで長時間攪拌後
沈殿が整うよう調整されているのですが
オリジナルの釉薬は
おぢが調合後に乳鉢の中で混ぜているだけなので粒子が粗く
焼き上がりが安定しないため
使っていただくことができないのです。
でも
それってなんだかなぁ、と
毎回、心苦しく思ってきました。
そこで今回
教室内の釉薬だけで
ご飯茶碗型の色見本を出してみよう、
そう思いつき
やってみました!
ご飯茶碗のかたちは
根強い人気の、ルーシー・リー型。
色見本なので
高台を思いっきり小さくしています。
使用している土と釉薬は
お茶碗の内側に細かく記載アリ、です。
でも、このお茶碗、
これと同じように釉薬を掛けてね
という見本ではありませんし
特におぢ好みの釉薬というわけではないのです。
あくまでも
2重掛けや
掛け分けをする際の
釉薬組み立てのヒントにしてもらえれば
という思いで施釉しています。
例えば
ツヤ感を少し落としたい時、
掛けたい釉薬の前に
マット系の釉薬をかける(融点を高くする)
白系の釉薬を重ねる場合
乳濁具合を明確にしてから
どの白系釉薬にするかを選ぶ
いくつかの釉薬を重ねて吹く場合
アクセントにする釉薬の順番を変えて
効果に違いを出す、などなど
今まで質問が多かった釉薬や施釉方法を中心に、
釉薬をテストする際の「考え方」を
入れ込んだつもりです。
思えば
おぢが釉薬研究にはまったきっかけは
海外青年協力隊員時代
配属先のパンガシナン州立大学陶磁器科の仕事で
DENRと行なった土と釉薬の実験でした。
そのときはじめて
陶芸とは
釉薬と土と熱の化学変化で
3つの組み合わせは
底なしに奥深く
無限の可能性広がる世界なのだと
頭ではないところで理解。
さらに
実験を重ねた末に
ネイティブ釉薬の再現に成功し
配属先のフィリピン人たちとハイタッチをして喜びあった記憶が、おぢの釉薬テスト好きを
決定付けたのでした。
もちろん
化学変化テストなので
失敗は
つきものです。
でも
それすら楽しんでいった
その先には
窯の神様からの贈り物のような美しい色が
必ず、待っています!笑
市販の釉薬であっても
土と釉薬の組み合わせは無限です。
ぜひ、オリジナルの組み合わせを見つける楽しさを
味わっていただけたら。
この色見本たちが
そのきっかけに
ほんの少しでもなれたらうれしいなぁ、
おぢ、ゆるりと願っております♪
かたち
*棚からおまけコーナー
色見本をひとつ。
せっかくのルーシー・リー型なので
シリコンカーバイトを使った溶岩釉薬に
寄せたお茶碗も。
これ、口元にいぶし黒釉を施していますが
ここはマンガン釉に代えた方が相性がいいかもしれません。
教室内の釉薬で再現可能なので
溶岩釉にご興味ある方
よかったらチャレンジしてみてくださいね。